八戸工業大学では2020年より、八戸市南郷島守地区の住民団体「島守田園空間博物館運営協議会」と共同で「しまもりSDGs実践プロジェクト」を実施しています。同地区の社会インフラや自然環境の調査研究を通じて、地域の維持や活性化に向けた知見を深めることを目的とし、教職員や学生がさまざまな活動を行っています。
この活動では2022年から、同地区で栽培した米を使用した日本酒製造プロジェクトを実施しています。そこで建築・土木工学コースの黒坂貴裕教授が着目したのは収穫した稲わらです。米(籾)以外の部分を活用して何かできないかと考えました。そこで、研究室メンバーの尾崎 健翔さん、遠藤 友人さん(ともに建築・土木工学コース4年)が卒業研究の一環として、「現代ヨーロッパ茅葺構法を用いた小建築の実践」に取り組むことになりました。
制作において最も苦労したのは「材料集め」とのこと。収穫を待って、本学が借りている田んぼで育てた稲の他、島守の住民の方からもご提供いただきました。昨年12月から骨組みを作り始め、急ピッチで作業を進行。それまでに、日本やヨーロッパの葺き方を学ぶために宮城県の職人を訪ねて研修も受けました。「どのくらいの長さで葺くのが良いか、感覚をつかむのが大変だった」とメンバーの二人。試行錯誤を繰り返し、ヨーロッパの技術を取り入れた温かみのある小建築が完成しました。本学のマスコットキャラクター・八工犬の小屋に見立て、今月中は大学受付に設置しています。(3月1日から6日までは卒業研究展@はっち)





黒坂教授は「稲わらは毎年収穫される再生可能資源で、SDGsのしくみを理解しやすい」と話し、次年度以降の小建築制作に意欲的です。今後も、「しまもりSDGs実践プロジェクト」の取り組みに注目です!
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