現在、社会において求められる人材は高度化・多様化しており、大学は、若者の能力を最大限に伸ばし、社会の期待に応える人材の養成を求められています。
文部科学省は、大学の人材養成機能の抜本的強化・教育の質保証を目的とし、平成26年度(2014年度)より「大学教育再生加速プログラム」の公募を開始し、高大接続から社会接続まで一体的な教育改革を推進しました。
この「大学教育再生加速プログラム」は以下の5つのテーマに分かれており、本学はテーマⅡである「学修成果の可視化」に採択されました。
テーマⅡは、各種指標を用いて学修成果の可視化を行い、その結果を教育内容・方法等の改善につなげるもので、国公私立大学・高等専門学校を合わせ全国で8校が採択され、北海道・東北地区では本学のみでした。
本学では、平成26年度(2014年度)から令和元年度(2019年度)までの6年間に渡り、「これまでの教育・研究活動等の改善」「教育課程の体系化」「学生自らが自身の学習目標の設定・達成度評価を行うシステムの構築」「良き職業人の育成を見据えた教育体制の整備」を目指し、以下の5つの目的を掲げて取組みました。
これらを踏まえ、本学では「学修成果」を
これら3つに分類・定義し、正課による「授業の学修成果」、正課・正課外・自主学習を包括した「教育課程の学修成果」の視点で可視化できるよう、「20の修得因子」を定義し、達成度を数値化・視覚化できるよう開発を行いました。
前述のように、本学では平成26年度(2014年度)から令和元年度(2019年度)までの6年間に渡り、文部科学省の事業「大学教育再生加速プログラム(AP):テーマⅡ(学修成果の可視化)」に取り組み、現在もその取り組みは続いています。一部ではありますが、実績概要をご紹介します。
大学の教育目標(ディプロマ・ポリシー)の属性を修得因子と呼び、文部科学省の「学士力」(2008)、「生きる力」(2007)、経済産業省の「社会人基礎力」(2006)、「JABEE 認定基準」(2012) を参照し、高大接続から社会接続までを包含する20 個の修得因子を抽出しました。また、これら20 個の修得因子をもとに学科の教育目標や授業科目との関連付けを示したカリキュラム・マップ・ツリーを構築しました。そして、この20 個の修得因子に基づく学修成果の主観的および客観的な達成度を評価する手法を開発しました。
学生個人が自ら目標を設定し、学修の過程を振り返り、その記録をオンラインで入力・集積するための機能を有するラーニング・ポートフォリオ(LP)を導入しました。さらに、LPでは学生個人と教員が対話できるツールも提供しています。
また、本学ではLPと対をなす教員の教育活動を可視化するためのティーチング・ポートフォリオ(TP)を作成・運用しています。このLPとTPによって、学生の学修および教員の教育の双方の改善活動において連携した二重のPDCAサイクルを実装しました。
平成30(2018) 年度の卒業生から4 年後期までの総括的評価を実施し、卒業時に本学が質保証できる20 個の修得因子達成度のレベルを全学的に定め、個々の学生が当該レベル以上の達成度を獲得したことを確認した上で、ディプロマ・サプリメントを交付した。
ディプロマ・サプリメントは、個々の学生の達成度・達成度学年平均値(いずれも成績から評価した客観的な達成度)、主観的達成度(自己評価した達成度)、卒業生達成度(企業が評価した卒業生の達成度)、社会接続重視度(企業が採用時に考慮している新卒者の重視度)を掲載した。