令和4年度入学式 学長告辞

 本日ここに、令和4年度入学式を挙行できますことは、慶びに堪えないところであります。大学院工学研究科博士課程に入学された皆さん、工学部ならびに感性デザイン学部へ入学された皆さん、入学おめでとうございます。教職員一同、皆さんの入学を心から歓迎します。

 八戸工業大学は、八戸周辺地域・工業地帯の発展に伴い、その人材育成と研究開発の充実を図ることを目的として、地域の大きな期待を背負って、昭和47年に開設され、今年は大学の設置認可から50年となります。開設以来、学部・学科の増設、改組、大学院の新設などを経て、大きく成長してきました。これまでに、大学院は修士506名、博士67名、学部は19,148名が修了、並びに卒業され、様々な分野、場所で社会の発展を支える人材として活躍しています。

 本学は、JIHEE・日本高等教育評価機構から、国が定めた基準に適合しているとの認定を受けている大学であり、また、JABEE・日本技術者教育認定機構から、国際基準に準じた教育の設計から実施までが評価された、認定コースを有する大学でもあります。さらに本学は、近年、文部科学省に採択された「大学教育再生加速プログラム」の実践による教育改革への取組が、高く評価されている大学でもあります。このように、社会から様々な面で評価を受けている本学に入学された皆さんは、本学の一員となったことを自覚し、誇りを持って勉学に励んで欲しいと願っています。

 さて、皆さんは、入学前までの2年間、コロナ禍の影響で、勉学、部活動、仲間との交流などに、様々な制約を受け、通常の活動ができない辛い日々を過ごしたことと思います。本学入学後も、コロナ禍の不安や戸惑いは、まだ払拭できない状況かもしれませんが、皆さんが入学して、これから成すべきことは、将来の目標を持ち、それに向かって自分を磨き、自らを成長させることです。

 いま社会は、コロナ禍を契機とした新しい働き方や生き方の模索、デジタル化社会の実現を目指した改革の推進、カーボンニュートラルの実現に向けた活動の推進など、激動の最中にあります。皆さんが将来、このような社会において持続的に活躍するためには、高い専門力だけではなく、「知恵と感性」を駆使し、付加価値を高めたモノづくり、コトづくりができる力を備えておくことが必要です。また、AIやIoTなどの新しい技術に対応できるように、工学系の幅広い分野の知識を持つことも必要です。
本学はこれらの力を育成するために、今年度から新しい体制で教育を行います。まず二つの学部の横断型教育として、工学とデザインの融合教育、並びにAI・データサイエンス・数理教育を両学部で実施します。また、工学部においては、これまでの5学科を1学科に統合してコース制とし、分野横断型教育を実施します。これらの教育を通じて、本学は、皆さんが幅広い教養、深い専門性を持った人材として、社会に巣立っていけるように学修を支援します。
 本学の教育理念は、「良き技術は、良き人格から生まれる」です。この理念は、「良き職業人となるためには、高度な専門的知識とともに、豊かな人間性と総合的な判断力をもつ」ことが必要であることを意味しています。本学はこの理念を踏まえて、全学共通の人材育成目標となる、20の修得因子を定めています。例えば、「専門基礎力・応用力」のほかに、「主体性」、「チームワーク力」、「問題解決力」などです。本学は、皆さんが卒業時にこれらの目標を達成できるように、定期的に学修成果を確認し、学修行動の改善を行えるシステムを構築しています。皆さんはこれを活用し、学修過程の振り返り姿勢を習慣化し、自らを成長に導く能力を身に付けてほしいと願っています。

 その学修活動における姿勢や取組について、私から皆さんへの要望と期待を3つ申し述べます。
 一つ目は、在学中に少なくとも何か一つ成し遂げて欲しいということです。在学期間はあっという間に過ぎ去ります。修了時になって、「自分は何をしてきたのだろう」と思うのではなく、「自分は在学期間にこれをやった」と思えるようなものを修得してください。それをやり遂げて得たスキルや姿勢は、将来必ず役に立ちます。
 二つ目は、皆さんには、講義・演習や卒業研究・卒業制作などの学びのほかに、資格取得活動、自己啓発活動などの学びも含めて、幅広く学修して欲しいということです。これは無関係だと切り捨てず、何に対しても興味をもって挑戦する姿勢をもってください。皆さんの卒業後に、世の中は、IT化、デジタル化がさらに進み、産業・就業構造や働き方が大きく変わると言われています。それに柔軟に対応するためにも、知識の引き出しを増やしてください。
 三つ目は、人と幅広く交流して欲しいということです。人との交流によって、価値観の多様性を知ることができ、寛容な心を育むことができます。クラブ・サークル活動、ボランティア活動などの、正課外の学修活動に積極的に参加し、価値観の異なる人との交流を深め、人間力を磨き、自分の可能性を広げてください。
 以上の3つを是非実行して欲しいと願っています。
 結びに当たり、皆さんが、心身ともに健康で、充実した学生生活を送られ、大きく成長されることを心から祈念し、告辞といたします。

令和4年4月2日
八戸工業大学  学長 坂本 禎智