新任の先生方をご紹介します

基礎教育研究センター

竹浪 二三正 教授

 この3月まで高校で数学の教員をしておりました。八戸市内では、八戸西高等学校、八戸高等学校、八戸北高等学校の各校での勤務経験があります。
 さて、工学部の学生にとって数学は専門の勉強するための必須の道具だと思われます。学生諸君にとって必要な時にその道具を使えるようにすることが基礎教育の大きな目的だと思います。それを受けて、本学における数学の内容は理論より実践、計算力を高めることに重点を置いています。一方その内容については高等学校までの数学を土台にしており、そこでの数学の知識が十分身についていない学生にとってはハードルが高いと感じられる授業内容もあるでしょう。そこで今年度から数学の授業を補完する、数学を身に付けるための機会の拡大という意味や、初年度教育の充実という視点で新たな取り組みを始めたいと考えています。
 まず、1年生にとって必修の数学の科目について、担当教員が質問を受け付けるための場所と時間を設定します。授業時に質問できなかった事項や、授業の内容についての疑問、レポート(宿題)についてなど授業全般に関して学生の理解を深めることを目的としています。続いて、リメディアル教育において、学生により細やかに対応するためのTT(ティーム・ティーチング)の導入です。そして、学生と教員が一緒に勉強できる場所と時間の設定です。高校までの数学について不安を抱えている学生に対して少しでも、その不安を払拭できるようにします。これらのことは簡単には効果が表れないと思いますが継続したいと考えております。このほか、数学を通じての高大連携を検討したいと思っています。
 学生の数学に対する意識を変えて、学生が道具としての数学を身に付けていくためにできるだけのサポートをしていきたいと考えています。今後ともよろしくお願いします。


工学部 工学科 建築・土木工学コース

黒坂 貴裕 教授

 2020年12月、ユネスコ政府間委員会で日本の「伝統建築工匠の技〜木造建造物を受け継ぐための伝統技術〜」が、「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載されました。つまり、いわゆる大工さんや左官さんの伝統技術がユネスコ無形文化遺産に登録されたわけです。ただし、提案にあたっては「修理する技術(受け継ぐための技術)」に絞ることで、自然資源の持続的利用を体現し、国連の掲げるSDGsの達成に貢献するものとしました。
 この提案のスタッフであった私の研究は、おおよそ50年以上受け継がれてきた建築や、それを造り、維持する技術を対象としています。街や集落の何気ないたてものでも、たとえ50年とはいえこれだけの時が経てば歴史や文化を物語ります。そのような建築を調査研究することで、記憶に溢れたまちづくりに繋げたいと考えています。単なるノスタルジー(郷愁)ではなく、まちの記憶の貧困を無くし、住み続けるための建築史・伝統技術の研究です。


工学部 工学科 建築・土木工学コース

福士 譲 准教授

 専門は建築設計(デザイン)になります。使い方/使われ方の両面から探究する建築計画学では、建築学における実学としての側面を持たざるを得ないところがあり、その不可分な関係にあるのが設計と言えます。
 これまでは住宅から古民家改修、そして公共建築など多様なプロジェクトに携わらせていただきました。市役所庁舎など公共建築の場合は、数社のコラボによる共同設計など業務の多様化が見られます。また、行政主導の公共空間に留まらない新しい公共による居場所づくりやサードプレイスなど、街づくりで求められるようになってきた空間言語も変化し、ますます提案性のある建築デザインが必要な時代となっています。新しいものだけでなく、記憶を継承するような作り方、そして共有知や集合知による新たなものづくりなど、多様な関係性の中で行われる設計業務自体に興味があり、今その設計プロセスに関する研究も進めています。設計教育と併せて努めて行きたいと考えています。


工学部 工学科 システム情報工学コース

桶本 まどか 助教

 音楽を聴いた際、「この曲を聴くと気分が盛り上がる」、「メッセージ性を感じる」など何かしらの感情を想起したり(させられたり)、何かを考えるきっかけにしたり(させられたり)ということを経験された方もいるのではないでしょうか?音楽が人にもたらす影響というのは多種多様です。私の研究では、このような音楽を対象に「なぜ音楽を聴いた際に人は感動するのか」「音楽を聴いた際の人の感動をコンピュータが理解できるのか」という2つの大きな問に対する答えを見つけるために、この問に関係する様々なテーマで研究を行なっています。分野は、音楽知覚認知、音楽情報処理、音楽音響、音響信号処理などとなります。
 研究テーマの例としては、J-POP楽曲を対象としたボーカルの声質に対する嗜好性に関する研究です。具体的には、信号処理や機械学習という技術を用いて、コンピュータにヒトが判断したボーカルの声質に対する好みを予測させるという試みです。


工学部 工学科 建築・土木工学コース

外里 健太 助教

 広域における災害を対象として、数値解析の技術を効率的に活用することで、被害の高度なリアルタイム予測を可能とする枠組み構築を目指した研究を行っています。災害に関する数値解析から得られる情報は、実験的な評価を行うことが難しい広域災害に対して貴重な情報となる一方で、計算に多くの時間を必要とすることから、災害発生時の状況に合わせたリアルタイム計算によるリスク評価が難しいという面もあります。
 私の研究では、そのような数値解析の情報を効率的に被害予測に活用するために、様々な発生シナリオを想定した数値解析を事前に実施してデータベースを作成し、データサイエンスの手法を融合することで、あらゆるシナリオでの広域災害リスクを即時的に予測可能なモデルの構築を行っております。これまでは、津波と降雨に起因する土砂災害を対象としており、今後も数値解析やデータサイエンスを活用して、防災・減災に貢献できる研究を行ってまいりたいと考えています。