鮎川恵理教授『エコテックグランプリ2025』受賞のお知らせ

 株式会社リバネスによる創業応援事業『エコテックグランプリ2025』において、鮎川恵理教授(生命環境科学コース)がファイナリストに選出され、「安藤ハザマ賞」を受賞いたしました。
 鮎川教授がプレゼンしたテーマは「珪藻土でコケ植物緑化技術と遮熱建設材料を開発」で、秋田大学教員や株式会社栄組と共同で研究を行っているものです。(チーム名:グリーンモス)

鮎川 恵理 / Eri Ayukawa

20年以上本学でコケ植物を中心とした植物生態学を研究する私に、令和3年7月に科学技術振興機構(JST)のマッチングプランナー佐藤利雄氏(現八戸工業大学客員教授)により、秋田大学理工学部で珪藻土の植物成長促進効果の研究をする村上英樹先生のご紹介があり、共同研究のきっかけとなりました。

 準備段階で私は本学の協力により人工芝を利用したコケ植物緑化基盤に関する特許の取得等も行いました。その後、岩手県遠野市の株式会社栄組の佐々木栄洋氏の連携も得て、JST令和4-5年度研究成果展開事業A-STEPトライアウト「珪藻土が持つコケ植物の成長促進作用を活用した各種緑化技術の開発」の採択を受け、3者での共同研究を実施し、
1)珪藻土を利用するとコケ植物の成長がよく、種子植物の混入なく育てることが可能なこと
2)コケ植物用の特殊な接着剤の作成により、コケ植物を枯らさずに壁面も緑化が可能なこと
3)珪藻土含有のコンクリート作成が可能で、コケも自然定着すること
が確かめられました。これらは3つの特許として出願中で、今後、市場が拡大すると言われているグリーンインフラ技術の一つとしての展開が期待されます。珪藻土とコケ植物の性質から、世界各地で利用できる技術であり、実用化により低コスト高効率で断熱性の高い緑化・建設材料での屋上緑化等が可能となります。世界の都市でのヒートアイランドなど猛暑化の緩和策となる可能性があり、「光合成する都市」により、住み続けられるまちを実現する一歩となります。

(写真右)珪藻土におけるコケの緑化技術をテーマに卒業研究を行っている、鮎川研究室の小向 颯真さん(青森県立三本木農業高校出身)

(2025年9月24日 掲載)