(1)取組の内容について
a.自己点検・評価活動のこれまでの経緯
「自己点検・評価活動による教育研究の質的向上への取組が重要性である」との大学審議会答申をうけ、本学の教育目標が合致していることもあり、直ぐに対応をとり、現在まで以下のように質的向上に取組んでいる。
| 平成3年5月 |
[大学審議会答申] |
| 平成4年3月 |
活動の中心組織として大学改革室開設 |
| 平成5年7月 |
自己点検・評価の活動内容や実施体制等の検討を開始 ―法人事務局を含め全学の教職員での活動と位置付け、活動要領等の整備― |
| 平成5年9月 |
自己点検・評価作業の開始(全学活動開始大会Jump Up’93) |
| 平成6年4月 |
学則の改正「自己点検・評価」の実施を明記 |
| 平成6〜10年 |
活動の実施(毎年の実施) |
| 平成11年 |
学外6名による第三者評価を実施 |
| 平成12〜13年 |
活動の実施および日本技術者教育認定機構JABEE対応を検討、第1〜3回教育改善に関するシンポジウムの開催(1学科がJABEE試行審査を受審) |
| 平成14年 |
活動の実施および全学JABEE推進委員会の設置、第4回教育改善に関するシンポジウムの開催、第1,2回JABEE全学ワークショップの開催 (2学科がJABEE審査受審、1学科が試行審査受審)
|
| 平成15年 |
活動の実施および第三者評価の新制度を検討、第3,4回全学JABEEワークショップを開催 (2学科がJABEE審査受審) |

JABEE全学ワークショップ
b.自己点検・評価活動の全学組織
自己点検・評価の組織は、毎年新たに設置される。全学の各部所代表によって構成する運営委員会および基本事項検討専門委員会で活動方針や計画を立案・審議・決定し、全教職員が参加する対象別の実施委員会で点検・評価および改善策等を検討している。
改善策は、各実施委員会が直ちに担当部所に伝えるが、担当部所が不明な項目や長期にわたる対策が必要な項目は、運営委員会および基本事項検討専門委員会で検討し対応を取るようにしている。
c.自己点検・評価活動の対象項目
対象項目は、教育、研究、運営・財政の全てにわたって総合的な点検・評価をしている。また、点検方法としては、計画Plan―実施Do―確認・評価Check―改善ActionのPDCAサークルが回るように、前年度の課題の確認および次年度以降への課題の抽出を中心にしている。
最近は、抽出される課題が減少・細微化される傾向にある。したがって、社会の要求への具体的対応のために、新たな課題への対応にも取組んでいる。
d.自己点検・評価活動の成果の公表
毎回報告書を作成し、学内外に公開している。とくに、平成14年度報告書からは、本学のホームページで公開している。ホームページに載せる事によって、多くの学外の方に読んでいただき、問合せも出てきている。
(2)取組の特色性について
本学の自己点検・評価活動の特徴は、@教職員の意識改革への組織的な取組、およびA素早いJABEE等の教育改善への積極的取組に役立っている点である。
a. 教職員の意識改革への組織的な取組
平成4年に、自己点検・評価活動の中心組織として大学改革室を設置し、積極的に活動できる体制を整え、さらに規程の整備・関係委員会の設置等を行い、他大学に先駆けて報告書を纏めるにいたった。その結果、平成5年度報告書が学内外から反響を呼び、その後の継続的な活動により点検・評価・改善の流れが定着した。また、平成6年に学則を改正し、教育研究には自己点検・評価活動の実施が不可欠であるという認識を徹底するため、学則「第1章 目的および自己点検・評価」で以下のように記している。
| 第1条の2 |
本学は、その教育研究水準の向上を図り、前条の目的および社会的使命を達成するため、教育研究活動等の状況について自ら点検および評価を行う。 |
| 2 |
前項の点検および評価を行うに当たっての必要な事項は、別に定める。 |
b. 素早いJABEE等の教育改善への積極的取組
前述のように対象項目は、教育、研究、運営・財政の全てにわたって総合的な点検・評価をしている。また、点検方法としては、計画Plan―実施Do―確認・評価Check―改善ActionのPDCAサークルが回るようにしている。研究教育に関して、このような活動をしていたことが、JABEEの質の保証システムに、比較的スムースに対応できた理由である。
平成5年度に対象とした大項目を以下に示す。
教育研究の基本方針/教育研究組織/教育研究活動/教育研究予算/教育課程/学生生活/教育研究施設・設備
活動方法としては、教職員への教育改革への認識を深め、日常の業務に生かすためこの対象項目を細分化し割り当て、多くの議論の機会を設けて活動している。
平成15年度の対象項目を以下に示す。
学習・教育(学習・教育目標/学習・教育の量)/教育手段(教育および研究組織/教育研究活動)/教育環境(施設・設備/財源/学生への支援体制)/評価・改善(学習教育目標達成度の評価/教育改善)/図表で見る八戸工業大学-データ集-
活動方法としては、全教職員参加であるが学内メールでの審議等の機会を増やしている。また、対象項目はJABEE基準や第三者評価制度を念頭に置いて選定している。なお、抽出される課題が減少・細微化される傾向にある。このため、学生・社会の要求に取組むための自己点検・評価活動になっている
。
(3)取組の有効性について
本学での自己点検・評価活動の有効性としては、学習・教育に関する意識改革のツールとして機能しており、継続することによって大きな効果を出すことである。その効果を大別すると、以下の3つがあげられる。
1. 学生の意欲をひき出す教育体制に繋がっている。
2. 教職員が研究教育活動における質的向上を個々に考えるようになっている。
3. 他大学での研究教育への取組や社会の要求を意識し、本学独自の改革に繋がっている。
自己点検・評価活動から生まれた改善策のうち、継続されていて有効性が確認されているものを以下に示す。
a. 学生の意欲をひき出す教育体制
個々の学生に対応した教育を目指し、以下のような細かな制度を揃えるとともに、教員自身が学生個々と話し合う時間を増やして、丁寧な指導とともに高水準の教育を確保している。
オフィスアワーの開設/大学院の開設/海外の提携大学への海外研修/ITルーム(パソコン室)での自習/ナイトスクール(1,2学年生の自習支援)/図書館の夜間開館(21時まで開館)/他大学との単位互換/FE資格取得への指導/ほか
b.教職員の意識改革(研究教育活動における自分の役割の認識)
入学前交流講座・開講試験の活用(入学者個々の把握)/オープニングセミナーの開設(教養科目教員グループによる工学への導入教育)/学習意欲を高める時間割表の作成/JABEE認定(1学科)/JABEEへの対応/全学行事への積極的参加(教育改善に関するシンポジウム/全学JABEEワークショップ/他)/ほか
c.学生や社会の要求への積極的な取組
ファカルティデベロップメントFDへの取組(授業評価/授業参観/他)/学外での教育に関する研修会への参加/JABEEへの対応(他大学の教員との交流)/地域で生じた環境破壊への対応/地域の事業創出のための研究開発/外部資金の積極的導入/地域情報メディアセンターの設置計画/ほか
(4)将来展望について
今後は、学生や社会の要求への具体的対応を中心とした自己点検・評価活動が重要と考えている。また、大学の全入化、多様化に向けて、教育の質的向上を図る対応を行うためには、組織的な自己点検・評価活動が、教職員の意識改革および積極的な企画能力の涵養には不可欠と感じている。
北東北における人材育成と地域の課題解決という地域貢献に積極的に取り組む大学として、今後も以下のような活動を考えていく。
・当面の目標は、JABEE認定と第三者評価への取組
・本学の役割(地域貢献)を推し進めるための外部委員会の設置
・更なる地域貢献と外部資金の導入
・地域情報メディアセンターの設置・活用 など |