事業概要


八戸工業大学は地域にあり地域とともに歩む大学です。私たちはその最大の特徴を、地域課題やリソースに関する情報を集約して、地域が抱える課題を解決する「工程」を示すことができる点にあると考えています。研究ブランディング事業は、その強みを皆さんに理解してもらいながら、地域の価値を高めるための活動を支援するプロジェクトです。今、地域には豊かな社会的資産がある一方、社会資本の老朽化が進行しています。社会資本および社会的資産に関する研究と地域資源・地域課題に関する情報集積機能を強化して、地域に不可欠な課題解決ハブとなる大学となることを目指します。

ブランディング活動イメージ


ブランディング活動のイメージ

活動の目的


インフラの維持や更新が大きな社会問題となっています。北東北は、凍結などによるコンクリートの劣化といった課題が深刻化しやすい上に、地震・津波・雪害など自然災害が多発する地域でもあります。また、北東北3県では人口減少が深刻です。全国平均の数倍の速さで、この先人口が減少すると予測されています。そこで当地域では、寒冷地でのインフラの長寿命化や防災・減災のための技術開発、これらを担う人材の育成、人口減少社会でのインフラのあり方などについて、他地域に先行して検討を進める必要があります。

実際青森県基本計画には、2030年までにめざす姿として、「交通・情報通信インフラの整備」「防災インフラと防災体制の整備」「再生可能エネルギーによるエネルギーの地産地消」など、社会インフラが直接的に関わる内容が多く謳われてます。また、「観光産業の推進」「自然との共生や循環型社会の実現」など、健全なインフラの維持・整備が間接的に貢献できる分野も、多く取り上げられているところです。地域にある工学系大学として八戸工業大学が研究ブランディング事業に取り組むことには、このような背景があります。

八戸工業大学では、これまで地域に根ざした多くの科学技術分野の研究成果を生み出してきました。特に、工学部を中心として、インフラに関わる研究活動を重層的に展開しています。また地域の自治体や産業界と連携した活動も活発です。さらにインフラの維持管理、災害・防災、環境保全などのテーマについてフォーラムや講習会、研修会を積極的に開催していますが、これらのイベントを地域の産学官連携により展開していることも大きな特色となっています。

そこで八戸工業大学では、この研究ブランディング事業を通じて、北東北での「社会インフラに関わる技術開発」「インフラ・まちづくりに関わる社会システム」をテーマに研究を推進します。また、プロジェクトには関連する人材の育成と研究成果の社会実装も含めることとし、総合的なインフラ研究拠点を構築することを目指します。その目的は、地域の「安全・安心・快適な暮らしの創造」と「農林水産業・工業・観光業など産業・雇用の活性化」に貢献することです。

大学の将来ビジョン


八戸工業大学は「人類の幸福を希求する科学技術の振興と文化の創造ならびに地域社会の発展に寄与する」ことを使命とし、研究ブランディング事業では、以下に掲げる将来ビジョンの実現のため様々な活動を行います。

  • 地域の要請に応える教育と研究を行い、地域に不可欠な大学
  • 専門的学識とともに人格の優れた人材を育成し、地域の課題解決に取り組む研究を行って、地域に貢献する大学
  • 関係機関と連携し、相互の活動成果を高め、教育研究活動に貢献する大学
  • これらの教育研究活動を実践し、学生とともに成長する大学

研究活動と期待される成果


八戸工業大学の研究ブランディング事業では、「研究実施プロジェクトチーム(PT)」「人材育成・社会実装推進PT」「ブランディング推進PT」を設置して活動を行います。ここでは「研究実施PT」と「人材育成・社会実装推進PT」の活動内容と期待される成果について説明します。

研究実施PT

(A) インフラ社会システム研究部門・(B) インフラ基盤技術研究部門・(C) 防災技術研究部門の3部門で研究を実施します。またこれら各部門の研究を支援するために、(D) 環境技術研究部門・(E) 支援技術研究部門を設置し、有機的に連携できる体制を整備すると共に、(A)〜(C)の各部門が連携して活動できる体制も整えて、大学全体として効率的で幅広い研究の実施が可能な体制を整備します。共通する目標は、北東北地域の「安全・安心・快適な暮らしの創造」と「農林水産業・工業・観光業など産業・雇用の活性化」に貢献することです。以下に研究テーマと期待される成果の概要を掲げます。

(A)インフラ社会システム研究部門:主にインフラに関する社会科学的研究を行う。

  1. 市民参加型地域づくりのための仕組みづくりと人材育成手法に関する研究
    市民参加型地域づくりの仕組み、地域づくりに自律的に参加する人材の育成手法、地域産業・文化の担い手育成手法の提案を目指します。
  2. 人口減少社会における地域インフラのあり方に関する研究
    人口減社会における安全・安心・快適な生活や地域産業の発展のための各種インフラのあり方について提案して、地域の魅力を高めることを目指します。

(B)インフラ基盤技術研究部門

  1. 寒冷地インフラの老朽化機構の解明と対策技術の高度化に関する研究
    寒冷地における各種インフラの劣化対策技術を提案し、これらの実用化・社会実装によって、インフラ長寿命化に寄与します。
  2. 寒冷地インフラの点検・計測・評価技術の開発と実用化に関する研究
    先端的な点検ロボットやセンサー、劣化評価手法の提案・実用化を目標とし、点検や維持管理における省コスト・省人力化に寄与します。
  3. 寒冷地あるいは人口減地域のインフラの高度化・最適化と維持管理システムに関する研究
    寒冷地・人口減地域の各種インフラの整備に関して基盤となる技術・維持管理システムなどの高度化・最適化を目指します。

(C)防災技術研究部門

  1. 地域の地震・津波防災に関する研究
    地震および津波による被害予測手法の確立と減災技術の提案を目標とし、地域の地震・津波被害の低減に寄与します。
  2. 地域の雪氷・豪雨災害に関する研究
    地域の雪氷・斜面災害の予測手法の確立と雪氷災害対策の提案を目標とし、雪氷・豪雨災害における被害の低減に寄与します。
  3. 地域の火災に関する研究
    高気密住宅における火災対策・火害を受けるコンクリートの長寿命化手法の提案を目指します。

人材育成・社会実装推進PT

地域産業や地域の活性化、まちづくり、防災等に関わるインフラ・マネジメントを担うことができる人材が、これからの地域振興の様々なシーンで求められることになります。そこでそのような能力を持つ人材を育成するプログラムを開発するとともに、これまで培われてきた産学官の連携を基盤として展開し、社会人技術者を対象とした継続教育を中心に教育体制の構築を目指します。プログラム内のメニューには、八戸工業大学が実施してきた講習会や研修会、フォーラム等をコンテンツとして有機的に組み込むとともに、研究ブランディング事業の各研究部門の研究成果を積極的に取り入れて、人材育成と研究成果の社会実装を統合的に実現することとします。成果目標は地域の技術者の高度化と産業競争力の強化、雇用の創出に資することです。

地域の方へのメッセージ


研究ブランディング事業全体を通じて、八戸工業大学は「地域に不可欠な課題解決ハブ」となることを目指しています。地域では、それぞれの企業やコミュティが抱える課題を集約できるハブ機能を有する組織が不可欠です。八戸工業大学は開学以来、地域の企業と様々な活動を共に行ってきました。また、その過程で地域の実情について、理解を深めてきています。そのような地域に密着した大学であるからこそ、情報を集約して複合的問題を解決する「工程」を提示することが可能であると私たちは考えています。単なるインフラ研究ではなく、地域の人々と企業、行政を結びつけて課題解決へ導くことが、八戸工業大学の役割です。もちろん地域の課題は、地域に暮らす人々や企業が、持続的かつ自律的に活動を維持できる状態となったとき、初めて解決されたと考えるべきです。そこで八戸工業大学は、この研究ブランディング事業を通じて「地域の主体的な再生に不可欠な大学」を目指します。

この研究ブランディング事業の成功には、地域の皆様のご理解が不可欠です。八戸工業大学では今後様々な形で、幅広く情報を発信してまいります。また地域企業の皆様には、ぜひ大学との協働に積極的に参画していただきたいと考えております。今後とも皆様には、八戸工業大学の研究ブランディング事業にご支援とご助力を賜りますようお願い申し上げます。