Flash 学長補佐挨拶
学長補佐写真八戸工業大学
関 秀廣 教授

プロフィール
出身校 :東北大学大学院
専門分野:映像情報メディア工学
    :画像情報工学
    :液晶工学
出張講義テーマ:
●iPadとiPhoneに見るカラー液晶
●インターネットと人間
●大学の役割と進学の意義

~高校生へメッセージ~
普段何気なく見ていることでも、疑問を感じると意外に分からないことが多いもの。それを少し掘り下げるだけで面白いことが発見できます。研究の面白さはここにあります。
高校生アカデミズム
~高校生に求めたい学問研究~
1. 「勉強」と「学問」は違います。
 高校生の皆さんには大学入学を目指して、日々勉強に没頭している人も多くいるものと思います。この「勉強」ですが「強いて勉める」と書き、「勉める」は「努める」意味を持っています。これまでの人々が築き上げた知識を自分自身のものとして頑張って取り込んで欲しいという思いが込められているようです。
 一方で、大学では「勉強」に加え、「学問」をするところでもあります。この「学問」というのは何でしょうか?文字を見ると「学び方を問う」あるいは「問い方を学ぶ」と読めます。未知の分野をどうやって学んでいったら良いか、あるいは、どのような問題があるのか探るにはどうしたら良いかという解釈もできると思います。いずれにしても共通な姿勢が下地になっています。それは「問う」、つまり「なぜか?どうしてか?」と疑問に思う態度です。クイズ王のように知識豊富な記憶力を持った人を、私は凄いと思ってしまいますが、「学問」にはそのような人物像は含まれていないようです。疑問を積極的に抱き、新しい課題に取り組んでいく姿が求められているのではないかと思っています。
 それではなぜこのような態度が皆さんに求められているのでしょうか?社会は日々刻々変化しています。そこではかつて経験したことばかりではなく、むしろこれまでになかった課題も多々起きています。こうした課題の解決には、自分が持っている限られた知識・技術だけで立ち向かうには無理があります。社会では、これまで得られている知識・技術を収集し、問題に適した新しい解を見つけ出していくより積極的な素養を、皆さんに求めています。
 高校では基本的な知識を備えるべく日々「勉強」をし、大学では周囲に疑問を感じて取り組んでいくアクティブラーニング(能動的学習)を通して課題解決を図る基本姿勢を身につけて欲しいと願っています。
2. 工学に「失敗」はありません。
 工学は、公共の安全、健康、福祉のために有用な事物や快適な環境を構築することを目的とする学問とされています。皆さんの中には、工学を選んだときに「失敗する」ことを心配する人がいるかもしれません。こうなるんじゃないかと思った通りの結果が得られないときに思わず「失敗した」と思って落ち込んでしまいます。
 しかし、チョット待って下さい。ある条件でやった結果ですから、誰でも同じことをすれば同じことが起きるはずです。これを再現性といって、科学の基本中の基本となります。願うような結果でなかったとしても、事実であることには間違いありません。逆の考え方をすれば、思った結果は、今の条件では得られず、残りの条件に解が潜む絞り込みができたという、新しい情報を見つけることができたと考えられます。「失敗」したので、せっかく取ったデータを捨ててしまうのは何ともったいないことでしょう。事実の証拠であるデータは大切にしましょう。
 「失敗は成功の元」ということわざがあります。これを工学的に解釈してみましょう。所詮これまでの実績を元にして成功できるならばそれ程苦労しなくて解を見出せるはずです。でも、そうは問屋が卸さないのが現実です。条件設定を間違ってしまったところから、意外な新しい発見をしましたという話を良く聞きます。工学の難しさとも言えますが、やりがいがここにあります。
 一方で、日々新しい技術が生まれています。よく、色々なことが考えられるなと感心するところです。これも私たちが取り扱う工学が色々な要素を持っており、それらを、二つ三つと組み合わせていくことで天文学的な数となって新しい可能性が生まれる背景になります。こうした科学の多様性があるが故工学の強みともなり、到底限界を考えられなくなります。
 工学では、条件をしっかりした上での「失敗」はポジティブに受け止められることができ、それが工学の面白み、強みとなり、可能性は大きく広がっていると言えます。多くの若い人々に工学に飛び込んで欲しいと願っています。
3. 様々なステージに立とう。
 大学は社会で活躍する前段階です。そこでは、学問にしっかり取り組んで、何事にも疑問を持ち、「考える」力を備えることが必要です。これにはPDCA思考を通した方法論を養ってもらいます。P(Plan、課題発見)、D(Do、仮説構築)、C(Check、仮説検証)、そしてA(Action、結論導出)の繰り返しが課題解決につながります。その際、これまで培われてきた技術や社会の仕組みを見聞きすることも有効です。八戸工業大学では実証科学という言い方をして、実験、実習、学外研修等より現実に即した考え方を養うことができるようにしています。
 また、限られた自己体験を多様化させる為には、多くのステージを経験することが貴重です。この点では異文化と触れることも大切です。グローバル化が国境という概念を変えつつあります。こうした日々進展する中で、皆さんには海外の人々と触れ合う機会がどんどん増えて行きます。大切なことはそれぞれの文化的背景を理解し、寛容な姿勢で互いに意思を交換することです。そのため八戸工業大学では、英語による会話訓練、海外語学研修による異文化体験、海外からの留学生受け入れ、ネイティブな方々による講演会、海外からの高校生・大学生との交流会など、国際交流の機会をできうる限り皆さんへ提供するよう努めています。
 八戸工業大学では課外活動も大切な「考える」機会と捉えています。試合やコンテストで勝ちたい!自分の思いを知ってもらいたい!自身の活動を通して様々な望みや目標が生まれてきます。それらを実現していくときには普段にも増して熟慮できる絶好の機会となります。こうした積み重ねは、皆さんが社会で活躍できる大きな一助になると信じています。
4.「ジンカク」は測れるか?
 これまで述べてきたように八戸工業大学では、学生が自ら考え、工夫して切り拓いていく力を養成したいと考えています。自らの考え方や人間性を変えていくのは自らの強い意志が求められます。しかし、こうしたことは良く言われることですけれども、実際には、どうやって磨いていけば良いのでしょうか?やや雲をつかむ思いがするのではないでしょうか?
 八戸工業大学では、教育理念として「よき技術はよき人格から生まれる。」を掲げて、教育の基本方針としています。ものづくりにおいては人格も大きく関わってきます。挑戦力が課題解決の進展に大きく影響します。それを大学で学ぶことも必要になります。また、様々な分野を専門とする人々とのチームプレーで進められることが多くなっています。それをスムーズにするには互いに信頼し合える関係が求められます。それを「よき人格」として表現しています。
 それでは人格形成を促すにはどうすれば良いのでしょうか?知識や技能は筆記試験や実技試験をもとにして評価することができます。「人格」は人の心に関わる複雑な要素が関わることから難しいと思われます。でも、自分自身で評価をすることができたとすれば、より明確な目標とすることができ、いつも自分自身を客観的に見ることができます。八戸工業大学ではこれを少しでも指標にできればと考え、4年間で自分自身の人格がどのように変化しているのかを知る手法を提供します。
 高校生の皆さんには、大学生活を通してよりタフな気概を持って課題解決に立ち向かうチャレンジ精神を体得されることを期待します。
フッター画像